Z1の概要と対策

Z評点の計算式は次の通りです。

  

Z評点={技術職員の数の点数(Z1)×0.8}

       +{元請完成工事高の点数(Z2)×0.2}

  

 技術職員数値の評点は、審査基準日における工事種類別の技術職員が多ければ多いほど点数は上がります。技術職員数の評価対象となるのは常勤で、審査基準日時点で6カ月超在籍している技術職員です。住民税の特別徴収税額を通知する書面等で確認します。同一の技術者が複数の資格を持っていても、加点カウントできる業種は2個に制限されています。技術職員の資格区分による配点は次の通りです。

 

資格の種類

付与点数

(一人あたり)

・建設業法上の1級技士で、かつ、監理技術者講習修了者

・建築士法上の1級建築士で、かつ、監理技術者講習修了者

・技術士法上の技術士で、かつ、監理技術者講習修了者

6
上記のうち監理技術者講習修了者でない者 5
監理技術者を補佐する資格を有する者 4
基幹技能講習修了者で1級資格者以外の者 3

・建設業法上の2級技士

・2級建築士、木造建築士

・第1種電気工事士

・1級技能士

2

・第2種電気工事士+3年実務

・電気主任技術者+5年実務

・給水措置工事主任技術者+1年実務

・2級技能士+3年実務

・大学指定学科卒業+3年実務主任技術者

・高校指定学科卒業+5年実務主任技術者

・実務経験10年の主任技術者

1

 

 技術職員数の評点は、技術職員名簿に掲載した技術職員の資格等で付与された点数を工事種類別に集計して確認します。

 

上記計算式での確認は大変なので早見表を作成しました。ご参考下さい。

 

P点は次の計算式です。

 

P点=Z評点(Z1(技術職員数値)×0.8)×0.25

 

 

Z1(技術職員数)評点早見表

技術職員数値(1~50)

技術職員数値(50~100)

技術職員数値(100~500)

技術職員数値(500~1,000)

技術職員数値(1,000~3,500)

技術検定制度の見直し

 令和3年4月1日施行分において、技術検定制度の見直しが行われました。技術検定の改正点や受験資格については次の通りです。

 

[現状]

 1級 学科試験⇒合格⇒実地試験⇒合格⇒1級技士称号付与

 2級 学科試験⇒合格⇒実地試験⇒合格⇒2級技士称号付与

 

[改正後]

 1級 第1次検定⇒合格⇒1級技士補称号付与⇒第2次検定⇒合格⇒1級技士称号付与

 2級 第1次検定⇒合格⇒2級技士補称号付与⇒第2次検定⇒合格⇒2級技士称号付与

 

※第1次検定:施工技術のうち知識及び能力を有するかどうかを判定

※第2次検定:施工技術のうち実務経験に基づいた技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力を有するかどうかを判定

 

 2級の第2次検定に合格した者については、1級の第1次検定を受験するにあたり、1級の受験に必要となる実務経験を得ることなく受験が可能となります。ただし、第2次検定の受検には所定の実務経験が必要です。

 

 経営事項審査において監理技術者補佐になり得る1級の技士補(主任技術者資格+1級技士補)の場合は、4点の加点となります。

 

Z1(技術職員数)評点アップ策1

監理技術者講習の受講

 1級施工管理技士、1級建築士、技術士などいわゆる1級資格を持つ技術者が監理技術者講習を修了すると、評点は5点から6点にアップします。経審で監理技術者講習修了者と認定されるためには、審査基準日時点で有効な「監理技術者資格者証」と「監理技術者講習修了証」の二つが必要です。

 監理技術者資格者証は、一般財団法人建設業技術者センターに対して交付申請を行うことにより監理技術者資格者証が交付されます。

 監理技術者講習修了証は、任意の登録講習実施機関に対して監理技術者講習の受講も申し込みを行い、監理技術者講習を修了することで、監理技術者資格者証に修了証ラベルが貼付されます。 

 

Z1(技術職員数)評点アップ策2

基幹技能者講習の受講

 基幹技能者とは、熟達した作業能力と 豊富な知識を持つとともに、現場をまとめ、効率的に作業を進めるためのマネジメント能力に優れた技能者で、専門工事団体の認定を受けた者です。現場では、いわゆる上級職長などとして、元請の計画・管理業務に参画し、補佐することが期待されています。

 基幹技能者制度は、平成8年に専門工事業団体による民間資格としてスタートしましたが、平成20年1月に建設業法施行規則が改正され、新たに「登録基幹技能者制度」として位置付けられました。同年4月以降に国土交通大臣が登録した機関が実施する登録基幹技能者講習の修了者は、登録基幹技能者として認められ、経営事項審査においても評価の対象になりました。登録基幹技能者に与えられる評点は3点です。登録基幹技能者講習を受講するためには、次の要件を満たしている必要があります。

  • 当該基幹技能者の職種において10年以上の実務経験
  • 実務経験のうち3年以上の職長経験
  • 実施機関において定めている資格等の保有(1級技能士、施工管理技士等) 

Z1(技術職員数)評点アップ策3

上位資格の取得

 技術職員数の評点を上げるには、技術職員の絶対数を増やすことが大切ですが、収益性を度外視した技術職員の増員はX2の自己資本額や平均利益額、Y(経営状況)の点数を悪化を招きかねず、慎重であるべきです。既存社員に上位資格を取得させることが王道となります。例えば、電気工事での評点アップを狙うには次のような対策が考えられます。

  • 1級電気施工管理技士(5点)⇒監理技術者講習受講(6点)
  • 2級電気施工管理技士(2点)⇒1級電気施工管理技士補(4点)
  • 2級電気施工管理技士(2点)⇒1級電気施工管理技士(5点)
  • 第1種電気工事士(2点)⇒登録電気工事基幹技能者(3点)
  • 第2種電気工事士(1点)⇒第1種電気工事士(2点)
  • 第2種電気工事士(1点)⇒2級電気施工管理技士(2点)
  • 5年経験電気主任技術者(1点)⇒第1種電気工事士(2点)
  • 無資格者、無経験者(0点)⇒2級電気施工管理技士(2点)
  • 経験未達第2種電気工事士(0点)⇒3年経験第2種電気工事士(1点)

Z1(技術職員数)評点アップ策4

実務経験の見直し

 技術職員数の評点で加点の対象となるのは技術者名簿に掲載した場合です。また、技術者名簿に掲載された技術者一人で評価の対象となるのは2業種までです。ところが、2業種掲載するのは国家資格に限定しているケースが多く、実務経験は見逃されているケースが多いようです。点数を上げたい業種で国家資格を保有していない技術職員も実務経験なら該当するケースがあるのではないでしょうか。実務経験はあくまでも該当業種の工事実務を経験していることが必須ではありますが、経験年数には前職のものもカウントすることが可能です。また、複数工事の実務経験があり20年の実務経験を有する場合は2業種での掲載も可能となります。実務経験のみの技術者の評点は1点に過ぎませんが、技術者数が増えれば大幅な加点増も可能な場合があります。

 

経営事項審査の料金

明細 金額
宮本事務所報酬額  165,000円(税込)
経営状況分析申請手数料 9,400円
経営規模等評価申請料(1業種) 11,000円
実費(各種証明書) 数千円

※上記の報酬額は、事業年度終了届経営状況分析申請経営規模等評価申請一式の料金です。