建設業の厚生年金保険加入手続きガイド

社会保険労務士宮本事務所

〒861-8005 熊本市北区龍田陳内3-3-55 ☎096-288-0853 📠096-339-0521


 

 17.828%。現在(平成27年9月~)の厚生年金保険の料率です。給与(標準報酬)にこの料率をかけて厚生年金保険料額を求めます。びっくりポンな金額です。もちろん、この保険料額を事業主と個人で折半することにはなりますが・・・。

 身近な存在である医療保険に比べ、年金は遠い先のことのような気がして余計に年金保険は敬遠されているようです。

建設業で社会保険未加入が多い理由。意外と労働者の拒否反応のような気がします。

 それでも建設業にとって社会保険未加入問題は待ったなしの問題です。ここは労使で腹を括り、会社の発展のために決断していくことこそ大切でしょう。

 このページがその一助になれば幸いに思います。

 

              社会保険労務士 宮本誠司

宮本事務所の社会保険加入サポート


宮本事務所では契約を締結していただいたお客様を対象に社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入手続きサポートをいたします。手続きにおける流れは下記の通りですが、宮本事務所では申請手続きをすべて電子申請で行うため、ご自分で申請手続きされる場合よりも大幅にご負担が軽減されます。

 

  1. 継続契約の締結(お客様⇔宮本事務所)
  2. 必要書類のメール等での送付(お客様⇒宮本事務所)
  3. 電子申請(宮本事務所⇒年金事務センター)
  4. 健康保険証の送付(けんぽ協会⇒お客様)

以下、2.のお客様にご用意いただきたい必要書類を手続き毎にご案内いたします。

1.健康保険・厚生年金保険新規適用届


事業所においてはじめて健康保険、厚生年金保険に加入するとき必要な手続きです。名称の通り、健康保険と厚生年金保険が一緒になっています。

宮本事務所による電子申請にあたっては、事業の種類、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、事業所電話番号などのほか、給与形態(月給か日給かなど)、諸手当、給与計算締切日、給与支払日、従業員数、社保加入従業員数、社保非加入の従業員数・種別・勤務形態、所定労働時間(月間勤務日数、1週間・1日当たり労働時間)などの情報が必要です。

 

必要書類

  • 法人登記簿謄本
  • 事業主の世帯全員の住民票の写し(個人事業所の場合)
  • 建物賃貸借契約書写し(必要に応じて)

2.健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届


役員や従業員が個人ごとに社会保険に加入するための手続です。

宮本事務所による電子申請にあたっては、被保険者の住所、氏名、生年月日、厚生年金保険等の取得区分、基礎年金番号、資格取得年月日、報酬月額、被扶養者の有無などの情報が必要なので、宮本事務所では労働条件通知書兼雇用契約書と労働者名簿の送付をお願いしています。この中で意外と手間取るのが基礎年金番号です。被保険者の方には年金手帳や年金定期便など年金関係の書類に記載されていることをお伝えください。それでもわからない場合は、被保険者が直接、市町村役場か年金事務所まで問い合わせ下さい。

 

 

必要書類

3.健康保険被扶養者(異動)届


社会保険新規加入手続きにおいて最も難航する可能性があるのが被扶養者届です。まずもって、被扶養者になれるかどうか、の判定が難解です。判定は二段階になっています。被保険者と被扶養者の親族関係が第一です。下の表の通り、被保険者の兄や姉は同一世帯にいない限り被扶養者にはなれません。びっくりポンです。第二に生計維持関係です。しっかり言葉を吟味してください。

 

判定1

要件 被扶養者の範囲
 生計維持関係のみ必要

 被保険者の

①直系尊属

②配偶者(事実上の婚姻関係を含む)

③子

④孫

⑤弟妹(兄妹は含まない)

生計維持関係

同一世帯

①被保険者の3親等内の親族(上記除く)

②事実上の婚姻関係にある配偶者の父母及び子

③上記②の配偶者の死亡後におけるその父母及び子

判定2

  同一世帯 非同一世帯
 60歳未満

①130万円未満

かつ

②被保険者の年収の2分の1未満

①130万円未満

かつ

②被保険者からの援助額より少ない

60歳以上又は障害者

①180万円未満

かつ

②被保険者の年収の2分の1未満

①180万円未満

かつ

②被保険者からの援助額より少ない

宮本事務所による電子申請にあたっては、被扶養者の住所、氏名、生年月日、性別、続柄、職業、収入、被扶養者になった日、配偶者の場合は基礎年金番号、等の情報が必要となりますが、宮本事務所では最低限次のような書類をお願いしております。

 

必要書類

  • 住民票
  • 委任状(被保険者⇒宮本事務所)

被扶養者が所得税法の規定による控除対象配偶者又は扶養親族(給与収入であれば103万円以内、65歳未満の年金収入であれば108万円以内、65歳以上の年金収入であれば158万円以内)であれば、追加の添付書類は必要ありませんが、そうでなければ、ケースに応じて添付書類が必要となります。

  • 添付書類一覧

 

4.国民年金第3号被保険者資格取得届


被扶養配偶者が20歳から60歳までの時、健康保険被扶養届と一緒に行う手続きが国民年金第3号被保険者資格取得届です。この場合の配偶者は妻だけでなく夫も可です。この届出を出すことで被扶養配偶者は国民年金保険料を負担していることになります。あるいは、被保険者が負担する厚生年金保険料の中に被扶養配偶者の国民年金保険料は含まれているともいえるでしょう。

厚生年金保険と国民年金保険の比較


 社会保険未加入事業所の経営者や従業員の方は、年金では国民年金を納めておられるか、もしくは納めておられないか、どちらかだと思います。

 

 これから事業所が社会保険の適用事業所になりますと、厚生年金に加入されることになります。そうなると、厚生年金と国民年金はどう違うのか?気になるところだと思います。

 

 厚生年金と国民年金の関係を一言でいうと 厚生年金>国民年金 となります。これはもちろん厚生年金の方が優れているという意味です。そもそも厚生年金と国民年金は別制度ではありません。厚生年金と国民年金は同じ制度の中にあり、厚生年金の中には国民年金が含まれているといえるのです。

 

 どういうことかというと、保険料の面でいうと厚生年金保険料を納めるということは国民年金保険料も合わせて納めていることになるのです。給付の面でいうと、厚生老齢年金をもらう、ということは厚生老齢年金と老齢基礎年金の両方をもらうことになるのです。ちなみに国民年金だけを納めてきた人がもらえる年金は老齢基礎年金だけです。ですから、まじめに国民年金を納め続けた人がもらう年金は決してサラリーマンがもらう年金よりも多くなることはないのです。

 

 こういうと、それは当たり前だろ、厚生年金保険料の方が国民年金保険料よりも高いんだから、と言われそうです。しかし、それが意外とそうではないです。

 

 平成28年4月から納める国民年金保険料はお金持ちもそうでない方も一律16,260円です。一方、厚生年金では、給料が184,999円のとき、厚生年金保険料は16,045円です。つまり、給料が184,999円以下である限り、年金の保険料は厚生年金の方が安いということになります。

 第二に被扶養配偶者がいるときのことを考えてみます。自営業の夫婦などで国民年金を納めないといけない場合、国民年金保険料は二人合わせて32,520円です。一方、厚生年金では被扶養配偶者がいるときも厚生年金保険料の額は変わりませんので、給料が369,999円のときの厚生年金保険料は32,090円です。つまり、給料が369,999円以下である限り、厚生年金保険料の方が安くなるのです。

 

 もちろん、給料が185,000円以上になると扶養配偶者がいない限り世帯での年金支出は厚生年金の方が高くなります。事業主負担分と個人負担分をなかなか切り離して考えられない経営者にも相当の負担となることでしょう。しかしここは、少なくとも国民年金を納め続けた時より厚生年金を納めた時の方が多くのリターンを得られる、と割り切るよりほかないように思います。

 

 ところで、リターンについてですが、年金保険には年をとった時にもらえる老齢年金の他に、遺族年金と障害年金があることをご存知でしょうか?

 遺族年金は奥様や子供たちのための生命保険のようなものです。子供たちの年齢が18歳までのときを対象としたのが国民年金の遺族基礎年金ですが、厚生年金では遺族基礎年金+遺族厚生年金が支給され、子供がいない、又は子供が18歳を超えている時も遺族厚生年金は支給されます。また、被保険者が障害者になった時に支給されるが、障害年金ですが、これも厚生年金の方が手厚い内容となっています。

 

 以上、社会保険加入の判断材料としていただけたら幸いです。

 

厚生年金と国民年金の比較表

  厚生年金保険 国民年金保険
加入条 件 強制適用事業所に勤める70歳までの常勤の役員や正社員  20歳から60歳までの個人事業主や学生、無職の者など
運営者    国(年金事務所)  国(市町村)
 保険料  一定の保険料率に被保険者所定の給与額を掛けて算出。

平成28年3月まで15,590円、平成28年4月以降16,260円。

老齢

年金

65歳から老齢基礎年金+老齢厚生年金など 65歳から老齢基礎年金

障害

年金

障害1,2級:障害基礎年金+障害厚生年金+子供課金

障害3級:障害厚生年金

軽度障害:障害手当金       

障害1,2級:障害基礎年金+子供課金

遺族

年金

18歳の子供のいる妻:遺族基礎年金+子供課金+遺族厚生年金

子供のいない妻:遺族厚生年金

18歳の子供のいる妻:遺族基礎年金+子供課金

配偶者の年金

保険料の負担なし

第1号被保険者として別途
 納付義務  事業主が翌月末、事業主負担と個人負担分を合わせて納付  本人または世帯主
事業主負担 保険料の半分を負担 なし

社会保険料の負担額を考える


ここまで読んでこられて労働者の方が社会保険加入に反対することにはちょっと違和感をお持ちになる経営者の方が増えたことと思います。ただし、膨大な社会保険料の会社負担分に思いを馳せるとき、憂鬱な気持ちになられる経営者の皆様も決して少なくないことと思います。

 

(賃金総額+役員報酬総額)×14~15% の毎月の出費増

 

取りあえずは正確な出費増の把握から。早見表を作ってみました!ご参考ください。なお、下記の金額表には児童拠出金が含まれておりません。給与額に0.15%を掛けた額が児童拠出金です。

社会保険料早見表事業主負担編(平成28年3月~)

給与額   1人 2人 3人 4人 5人 6人
150,000円 40歳未満 20,946円 41,892円 62,838円 83,784円 104,730円 125,676円
40歳以上 22,131円 44,262円 66,393円 88,524円 110,655円 132,786円
160,000円 40歳未満 22,342円 44,684円 67,026円 89,368円 111,710円 134,052円
40歳以上 23,606円 47,212円 70,818円 94,424円 118,030円 141,636円
170,000円 40歳未満 23,738円 47,476円 71,214円 94,952円 118,690円 142,428円
40歳以上 25,081円 50,162円 75,243円 100,324円 125,405円 150,486円
180,000円 40歳未満 25,135円 50,270円 75,405円 100,540円 125,675円 150,810円
40歳以上 26,557円 53,114円 79,671円 106,228円 132,785円 159,342円
190,000円 40歳未満 26,531円 53,062円 79,593円 106,124円 132,655円 159,186円
40歳以上 28,032円 56,064円 84,096円 112,128円 140,160円 168,192円
200,000円 40歳未満 27,928円 55,856円 83,784円 111,712円 139,640円 167,568円
40歳以上 29,508円 59,016円 88,524円 118,032円 147,540円 177,048円
220,000円 40歳未満 30,720円 61,440円 92,160円 122,880円 153,600円 184,320円
40歳以上 32,458円 64,916円 97,374円 129,832円 162,290円 194,748円
240,000円 40歳未満 33,513円 67,026円 100,539円 134,052円 167,565円 201,078円
40歳以上 35,409円 70,818円 106,227円 141,636円 177,045円 212,454円
260,000円 40歳未満 36,306円 72,612円 108,918円 145,224円 181,530円 217,836円
40歳以上 38,360円 76,720円 115,080円 153,440円 191,800円 230,160円
280,000円 40歳未満 39,099円 78,198円 117,297円 156,396円 195,495円 234,594円
40歳以上 41,311円 82,622円 123,933円 165,244円 206,555円 247,866円
300,000円 40歳未満 41,892円 83,784円 125,676円 167,568円 209,460円 251,352円
40歳以上 44,262円 88,524円 132,786円 177,048円 221,310円 265,572円
320,000円 40歳未満 44,684円 89,368円 134,052円 178,736円 223,420円 268,104円
40歳以上 47,212円 94,424円 141,636円 188,848円 236,060円 283,272円
340,000円 40歳未満 47,477円 94,954円 142,431円 189,908円 237,385円 284,862円
40歳以上 50,163円 100,326円 150,489円 200,652円 250,815円 300,978円
360,000円 40歳未満 50,270円 100,540円 150,810円 201,080円 251,350円 301,620円
40歳以上 53,114円 106,228円 159,342円 212,456円 265,570円 318,684円

上記の表は熊本県における健康保険料額と厚生年金保険料額を合算した早見表です。社会保険に加入する場合のおおよその目安としてご活用下さい。給与額150,000円の40歳未満の者の社会保険料月額は20,946円で、二人では41,892円となります。40歳以上は介護保険料額が付加されますので料金が上がっております。

なお、保険料率の適用月は以下の通りです。

  • 健康保険料率:平成28年3月分~
  • 介護保険料率:平成27年4月分~
  • 厚生年金保険料率:平成27年9月分~平成28年8月分

ダウンロード
平成28年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険料額表(熊本県版)
社会保険料額表.pdf
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社会保険の適用事業所とは


※画像は平成24年6月厚生労働省年金局から発表された資料を抜粋いたしました。

まず冒頭申し上げておきますが、健康保険と厚生年金保険は一体加入が原則で、健康保険のみ加入とか、どちらか一方のみの加入はできませんのでご注意下さい。また、健康保険と厚生年金保険のことを狭義の意味で社会保険と言っています。公的保険すべてを社会保険ともいいますので、ご注意ください。

 

社会保険は個人事業であれ法人であれ事業主(個人事業主か法人の代表者)に加入義務があります。労働者など個人に加入義務のある国民健康保険や国民年金とは異なりますのでご注意ください。

 

加入義務のある事業所は法人と常時5人以上の従業員を使用する個人事業所です。個人事業所である限り従業員を何人雇用しようと加入義務のない業種もありますが、建設業の場合、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所には社会保険の加入義務があります。

社会保険の適用労働者


社会保険に加入義務のある事業所で、加入義務のある人は上記表のとおりです。タイトルには適用労働者と書きましたが、正確にはその事業所から給与をもらう人すべてが対象となりますので、労働者ではない役員も常勤である限り、社会保険の対象となります。

 

問題はパート(短時間労働者)や雇用契約期間のあるアルバイトの扱いです。

 

パートについては正社員(通常の就労者)の所定労働時間や所定労働日数が基準となります。概ね4分の3以上である場合にパートであっても社会保険加入義務が発生します。正社員の一日の労働時間が8時間であれば6時間以上、7時間であれば5時間15分以上です。また、一月の労働日数が24日であれば18日以上、26日であれば20日以上です。所定労働時間と所定労働日数は両方満たしている場合に加入義務が発生します。

 

雇用契約期間については上記表の(注)の部分をご参照ください。正社員と同じ所定労働日数、所定労働時間であっても、2ヶ月の雇用契約期間の人は社会保険に加入できませんのでご注意ください。

厚生年金保険制度の概要


  • 厚生年金保険の保険者は国です。保険料は全国一律です。
  • 厚生年金保険料率は平成27年9月分(10月納付分)から平成28年8月分(9月納付分)で17.828%です。
  • 厚生年金保険の対象となる人は70歳までの常勤の役員及び正社員です。20歳未満でも対象となります。
  • 厚生年金保険料は各人ごとの役員報酬額と賃金額を定額化した標準報酬月額に保険料率を掛けて求めます。
  • 標準報酬月額は加入時と年一回の更改時に決定され、加入時から更改時まで、または更改時から翌年の更改時まで、同じ標準報酬額が適用されます。
  • 保険料は毎月分を翌月末日に事業主が全額納めます。保険料は健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、児童拠出金と一緒に納めます。
  • 納付は毎月納付書が年金事務所から送付されますが、自動引き落とし制度もあります。
  • 保険料は事業主と個人が折半で負担します。
  • 個人負担分は事業主が個人の給与から控除できます。
  • 厚生年金保険の加入日を資格取得日といいますが、保険料が月単位のため日割り計算はありません。
  • 厚生年金保険の資格取得届は採用日から5日以内となっておりますが、超過していても遡って加入することができます。
  • 厚生年金保険の脱退日を喪失日といいますが、退職日の翌日が喪失日となります。保険料は喪失月の前月までとなっています。
  • 賞与を支給した場合も厚生年金保険料の対象となります。支給額から1000円未満を切捨てした額が標準賞与額となり、給与と同じ保険料率を掛けて求めます。
  • 賞与を支給した場合は、支給日から5日以内に賞与支払届を所轄年金事務所に提出する必要があります。

扶養制度について


扶養制度は国民健康保険にはない健康保険独自の制度です。端的にいうと扶養者にも被保険者と類似の健康保険証が発行され、医療費の負担等、被保険者と同様のサービスが受けられます。非常に誤解が多いのですが、被扶養者がいようといまいと、何人いようと、被保険者の保険料は変わりません。以下が被扶養者の範囲となりますが、後期高齢者医療の被保険者(75歳以上)は被扶養者になりません。

 

被扶養者の要件と範囲

要件 被扶養者の範囲
 生計維持関係のみ必要

 被保険者の

①直系尊属

②配偶者(事実上の婚姻関係を含む)

③子

④孫

⑤弟妹(兄妹は含まない)

生計維持関係

同一世帯

①被保険者の3親等内の親族(上記除く)

②事実上の婚姻関係にある配偶者の父母及び子

③上記②の配偶者の死亡後におけるその父母及び子

被扶養者の認定基準

  同一世帯 非同一世帯
 60歳未満

①130万円未満

かつ

②被保険者の年収の2分の1未満

①130万円未満

かつ

②被保険者からの援助額より少ない

60歳以上又は障害者

①180万円未満

かつ

②被保険者の年収の2分の1未満

①180万円未満

かつ

②被保険者からの援助額より少ない