建設業の労働保険加入手続きガイド

社会保険労務士宮本事務所

〒861-8005 熊本市北区龍田陳内3-3-55

☎096-288-0853 📠096-339-0521


 

 労災事故が比較的多い業種である建設業で労働(労災)保険に加入していない事業所が多いことは、ちょっと不思議です。でもこれは、違法でもなんでもなく、労災保険の考え方によります。建設業は現場毎に元請、下請、孫請と重層的な構造になっていることが一般的です。そのため、労災保険では加入義務を受注先の頂点に立つ元請一つだけに課しています。そのため、多くの下請専門の中小企業は労災保険に加入することが免除されています。しかしながら、建設会社には技術部門のほか、営業部門、事務部門があるのが一般的で、それらの部門での業務災害、通勤災害は検討課題と言えるでしょう。また、建設投資の縮小が進む中で、小さな元請工事も拾っていかないと、経営が成り立っていかない実状もあるように思います。そう考えた時、あらゆる建設会社にとって労災保険は無縁ではないように思いますがいかがでしょうか。                              

宮本事務所の労働保険加入サポート


熊本地震の発生により建設業を営んでおられる方は毎日ご多忙な日々をお送りのことと思います。皆様の頑張りが熊本の復興につながりますので、ご活躍を願わずにはいられません。同時に建設業の方には社会保険加入に万全を期していただきたいと思います。労災事故対策に労災保険、人員の確保・維持には雇用保険、社会保険の加入が欠かせません。備えあれば患いなしです。是非この際ご検討ください!

労災保険の対象となる事業は継続事業と有期事業に分けられます。工場や商店、病院ほかほとんどの事業は終了が予定されていませんので継続事業です。一方終了の時期が予定されているのが有期事業で建設事業が有期事業の典型となります。有期事業はさらに単独有期事業と一括有期事業に分けられます。次の条件に該当する場合が一括有期事業でその他は単独有期事業扱いとなります。

 

  1. 一工事の請負額が1億8千万円未満、かつ、概算保険料額が160万円未満の場合
  2. 一括できる工事が、隣接県及び厚生労働大臣が指定した都道府県の区域で行う工事であること
  3. それぞれの事業が、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち、土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊もしくはその準備の事業であること。
  4. それぞれの事業が、事業の種類を同じくすること。
  5. それぞれの事業に係る労働保険料の納付の事務が一の事務所で取り扱われていること。

さらに、労災保険における単独有期事業や一括有期事業を現場労災というのに対し、事務員や営業部員を対象とする労災保険を事務所労災といいます。事務所労災は労災保険と雇用保険を同時に成立させる一元適用となります。

宮本事務所では契約を締結していただいたお客様を対象に労働保険(労災保険)加入手続きサポートをいたします。手続きにおける流れは下記の通りですが、宮本事務所では申請手続きをすべて電子申請で行うため、ご自分で申請手続きされる場合よりも大幅にご負担が軽減されます。

 

  1. 継続契約の締結(お客様⇔宮本事務所)
  2. 必要書類のメール等での送付(お客様⇒宮本事務所)
  3. 電子申請(宮本事務所⇒労働局、公共職業安定所)
  4. 納付書の送付(宮本事務所⇒お客様)

以下、2.のお客様にご用意いただきたい必要書類を手続き毎にご案内いたします。

1.保険関係成立届(継続)


事業所においてはじめて労災保険に加入するとき必要な手続きです。

労災保険と雇用保険を合わせて労働保険といい、建設業以外では同時に成立させる一元適用なのですが、建設業では二元適用となっていますので、労働保険は雇用保険と労災保険で個別に成立させます。保険関係成立届の期限は労災保険加入義務のある元請工事の工事開始の日の翌日から10日以内となっています。

そもそも建設業では始期と終期のある建設工事ごとに労働(労災)保険関係を成立させることが大原則ですが、概算保険料に相当する額が160万円未満、かつ、請負金額が1億8000万円未満(消費税抜き)の事業については、一括して継続事業(一括有期事業という)と同様な扱いをします。ここでは一括有期事業の流れを解説いたします。

宮本事務所による電子申請にあたっては、事業の種類、事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、事業所電話番号、雇用保険被保険者数などの情報が必要です。

 

必要書類

  • 法人登記簿謄本
  • 事業主の世帯全員の住民票の写し(個人事業所の場合)
  • 建物賃貸借契約書写し(必要に応じて)

2.労働保険概算保険料申告書


労働保険に加入すると保険関係が成立した日から50日以内に概算保険料を申告し納付する必要があります。(申告は宮本事務所では電子申請で行います。)

 

概算保険料は一括される有期事業を開始した日から3月31日までの間に使用する労働者に支払う賃金総額の見込額に労災保険料率をかけて計算するのが原則ですが、建設の事業は、その事業の特殊性から、数次の請負により施工されるのが常態ですから、元請事業主が下請負労働者も含めた工事全体の支払賃金総額を正確に把握することは困難な場合もあります。そこで、賃金総額を請負金額から計算する特例が認められています。

 

請負金額×労務費率×労災保険料率=労災保険料

 

 

保険料額が20万円を超え、9月末までに成立した場合には、2~3回の分割納付ができます。

建設事業における労災保険料率と労務費率


労災保険手続を怠っていたとき


建設工事を始まると、一般的に労働者を使用しない工事はありませんので、その事業が開始された日に労災保険を掛けたことになります。ただ、建設業においては元請負人のみを使用者とみなす規定があります。よって、労災保険には自動的に加入しているとはいえ、その成立の日か10日以内に「保険関係成立届」を提出しなければならず、加入手続きがすんでいない間に労災事故が発生した場合には元請負人に費用徴収制度が適用されます。概要は以下の通りです。

  1. 加入手続きについて行政機関から指導等を受けたにもかかわらず、事業主がこれを行わない期間中に労災事故が発生した場合は保険給付額の100%を徴収する。
  2. 行政機関からの指導等は受けていないが、事業主が事業開始の日から1年を経過してなお加入手続きを行わない期間中に労災事故が発生した場合は保険給付額の40%を徴収する。 

労災保険の特別加入について


労災保険は「労働基準法上の労働者」を対象としていますので、経営者や事業主、一人親方は労災保険の対象となりません。これら労災保険に加入できない「労働者以外の者」に対し、労災保険に加入できるようにする制度を特別加入といいます。

 

  1. 中小事業主等 中小事業主(規模300人以下の事業主等)及びその家族従事者等が労働保険事務組合を通じて加入することができます。
  2. 一人親方等 一人親方その他の自営業者(大工、とび等)がその所属団体を通じて加入することができます。

労災保険の給付


 

業務上又は通勤によるケガで病院にかかった場合、原則としてケガが治るまでの治療は無料で受けられます。

 

業務上又は通勤によるケガの療養で休業し、賃金を受けない日の第4日目以降から休業(補償)給付が支給されます。

 

休業初日から3日間は事業主が労働基準法上の規定に基づく休業補償を行わなければなりません。

 

給付側、給与を概ね日給換算した額の80%です。

 

そのほか、傷病年金や障害(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭給付、介護(補償)給付などがあります。