経営業務管理責任者of建設業許可

行政書士法人アドミンイノベーション(略称アドミン)

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平成18年に行政書士事務所を開業して以来、これまで数多く建設業者の方から建設業許可の相談を受けてまいりましたが、最も多い断念の理由は「経営業務管理責任者がいない」ということでした。過去の経験が足りない、確認書類がない、現在の状況ではなれない、などといったところです。経験を重ね「熊本県版建設業許可の手引き」を何度も読み込んでいると、意外なところから突破口が開けてきたりするものです。逆に、経営業務管理責任者は大丈夫!と高をくくっていると、思わぬ落とし穴があったりもします。恐るべし!経営業務管理責任者です。

いかにして経営業務責任者の目途を付けるか?このページではこれらに対する答えを出していければ、と思います!

行ける!と思った方は是非お近くの行政書士に相談を。そして、迷うことなく建設業許可にチャレンジしてください。

 

左記は熊本県庁監理課作成の「どぼくま新聞2016年冬号」です。

なかなか読み応えがあります。是非ご一読ください。

 

 

経営業務管理責任者の現在の地位


建設業許可の条件の筆頭は経営業務管理責任者の存在です。まずは経営業務管理責任者に誰がなるか、が重要となります。経営業務管理責任者には過去の経験が問われますので誰でもなれるわけではありませんが、少なくとも建設業許可の申請時には次の何れかである必要があります。

  • 法人である場合には、常勤の役員
  • 個人事業である場合には、事業主本人または支配人
  • 支店長又は営業所長等(請負契約の締結権限等を有する者に限る)
  • 執行役員等(取締役会の決議により業務執行権限の委譲を受けた者)

役員とは次のような人のことです。

  • 株式会社や有限会社(特例有限会社)の代表取締役や取締役(監査役は不可)
  • 委員会設置会社の執行役(登記と関係のない単なる敬称としての執行役員は不可)
  • 合同会社、合資会社、合名会社の業務執行社員
  • 民法の規定による社団法人、財団法人、協同組合、協業組合等の理事

いずれも商業登記の履歴事項全部証明書で証明します。

 

事業主は次の書類で証明します。

  • 所得税の確定申告書の写し
  • 市町村発行の営業証明書の原本

個人事業主の支配人は支配人登記簿で証明します。

 

執行役員等は次の書類で証明します。

  • 組織図
  • 権限規程
  • 辞令等により経験期間、役職、権限が確認できる書類 

 さて、建設業許可を申請するに当たり、過去の経験等経営業務管理責任者の条件を満たす者がいない場合にどのような選択肢があるか、考えたことがありますか?

  1. 個人事業主で建設業許可の申請をしたい場合
  • 事業主本人が経験を満たすまでひたすら待つ!
  • 身の回りで経営業務管理責任者の資格を持つものを探してきてその者を支配人登記する
  • 身の回りで経営業務管理責任者の資格を持つものを探してきて、法人成りで、その者を役員にする
  1. 法人の役員で建設業許可の申請をしたい場合
  • 役員本人が経験を満たすまでひたすら待つ!
  • 身の回りで経営業務管理責任者の資格を持つものを探してきて、その者を役員にする

 経営業務管理責任者をどこからか連れてくる、という発想は意外と少ないように思います。でも、高齢社会の進展で経営業務管理責任者の有資格者はかなり増えているように思います。是非、トライを!

経営業務管理責任者の現在の常勤性


経営業務管理責任者になる者は常勤である必要がありますが、常勤性の証明は次のような書類で行います。

  • 健康保険被保険者証の写し(事業所名や資格取得年月日の記載が必要)
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定書の写し(算定基礎届の後に通知されます)
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得確認及び標準報酬決定書の写し(資格取得の後に通知されます)
  • 賃金台帳又は源泉徴収簿の写し
  • 出勤簿の写し

個人事業主本人は常勤性の証明が不要です。さすがに個人事業主は常勤に違いない、と推定されるようです。

 

ここで一つ問題です。複数の会社の経営するAさんはA社の常勤の役員ですが、B社の常勤の役員として経営業務管理責任者となることは可能でしょうか?

 

A社とB社が物理的に離れていれば、両社でともに常勤の役員であることは無理があります。A社は非常勤へ、B社は常勤へ、といった手続が必要かもしれません。しかし、同じ本店所在地であれば、報酬を合算してA社、B社両方で健康保険に加入し、二以上勤務届を提出することで、B社の常勤性が認められることもあるようです。

 

経営業務管理責任者の過去の経験


いよいよ、経営業務管理責任者になれるかどうか、を過去の経験で判定します。

 

(1)許可を受けようとする建設業に関し、次のいずれかの地位にあって5年以上経営業務管理責任者としての経験を有していること

①法人の役員

②事業主(本人)又は支配人

③支店長又は営業所長等(請負契約の締結権限等を有する者に限る)

④執行役員等(取締役会の決議により業務執行権限の委譲を受けた者)

 

このパターンが最もオーソドックスな形で、最短での許可を狙う場合には、ほとんどがこの形でしょう。しかし、このパターンは多くの場合、大きな注意が必要です。

 

理由は三点。

 

一点目は、自分が経験してきた建設工事がすべて許可を受けようとしている建設工事とは限らない、ということです。例えば、建築一式工事の許可を受けたいときに大工工事が混じっていたらその分は建築一式工事の実績とはみなされません。5年以上の実績に足りないことが大いにあります。

 

二点目は、実績のとらえ方の問題です。ちなみに実績の確認書類は以下の通りです。

  • 工事請負契約書
  • 注文書及び請書
  • 工事代金の請求書又は領収書の控え(見積書は不可)

他にも、建設業許可を取得されていた企業で役員経験等のある方は、建設業許可申請書や変更届出書、経営事項審査申請書等もあるのですが、これはまれなケースでしょう。

 

請求書等の控え等を確認書類とする場合、何が問題かというと、一つは一点目で上げた工事内容の問題です。そして、もう一つが工期の問題です。例えば、工事請負契約書の工期が始期が平成28年1月31日、終期が平成28年3月1日の場合、実績月数は3ヶ月、始期が平成28年1月31日、終期が平成28年2月29日の場合、実績は2ヶ月となります。ちなみに実績5年以上とは実績60か月以上を証明することになります。重複した期間はあくまでも1カウントとなりますので、注意が必要です。

ほとんどの確認書類は請求書の控えである場合が多いと思いますが、普通、請求書には工期が書かれていないケースが一般的です。その場合、実績月はどう判定されるかというと、これは請求書の日付の月が実績月となります。

実績の考え方は都道府県によって多少異なるようですが、熊本県では以上のような考え方です。

 

建設業許可の審査で最も時間かかる項目がこの経営業務管理責任者の実績確認です。少しでも審査がスムーズにいくよう、経営業務管理責任者実績確認表(原本)(記載例)をダウンロードしてご活用ください。熊本県監理課からいただいた資料を参考にエクセルで作成しました。なお、記載例は建築一式工事のものです。

 

三点目は、役職の確認書類不備です。

  • 商業登記の履歴事項全部証明書又は閉鎖登記簿謄本(発行後3か月以内のもの)
  • 所得税の確定申告書の写し
  • 市町村発行の営業証明書の原本
  • 支配人登記簿

このうち法人の役員や支配人の証明は登記簿等を法務局で請求するだけなので問題になることはないのですが、個人事業主の証明は確定申告書の写しが必要となり、これを保管されていないケースが結構多かったりします。これに代わるものが市町村発行の営業証明書ですが、これは本当に発行してもらえるのでしょうか?何度か代理申請したことがありますが、いまだに出してもらったことがありません!よって、個人事業主時代の実績が必要な場合は、所得税の確定申告書の写しを大事に保管しておいて欲しいものです。

 

(2)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、次のいずれかの地位にあって7年以上経営業務管理責任者としての経験を有していること

①法人の役員

②事業主(本人)又は支配人

③支店長又は営業所長等(請負契約の締結権限等を有する者に限る)

 

管工事と電気工事など複数の建設工事で建設業許可を受ける場合や電気工事の経験で管工事の許可を受けたいとき、7年以上の経営業務管理責任者の経験が必要となります。単一の建設工事で建設業許可を受ける場合も多種類の建設工事実績しかないときは、7年以上の実績が必要となります。

 

(3)許可を受けようとする建設業に関し、7年以上の経営業務管理責任者に準ずる地位(常勤)にあって、経営業務を補佐した経験を有していること

  •  役員または事業主に次ぐ職制上の地位にあった者で建設業の経営業務を補佐した経験を有する者

 これはズバリ建設業許可を受けていた個人事業主が急逝したようなときに、奥様や子供さんなど専従者として勤務していた方を経営業務管理責任者に認める措置だと思います。言うまでもなく所得税の確定申告書の写しに記載があることが条件となります。法人の役員に次ぐ職制上の地位で建設業の経営業務を補佐した経験者も全く認められないことはありませんが、ほとんどのケースで大会社を想定していると考えられ、これが認められるケースはほとんどないように思います。